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2024年07月22日 18時49分

参道の並木や境内の大切な木も食害に…あの「蛾」の幼虫が「ナギの木」を食い荒らす 個体の増えすぎ原因か

宮崎市江平の一の鳥居から宮崎神宮に続く並木道には、ナギの木が植えられているんですが、今、大量発生している害虫の被害を受けています。その原因について調査しました。

(早瀬純哉記者)
「宮崎大宮高校前の並木道にきているんですが、こちらの木をご覧ください。上の部分だけ葉っぱがなくなっているんです。」

宮崎市江平の一の鳥居から宮崎神宮までの県道沿いに植えられている、およそ150本のナギの木。枝を揺らしてみると…。

(早瀬純哉記者)
「おお!落ちてきました!白い幼虫が2~3匹落ちてきました。」

昆虫の生態に詳しい南九州大学の新谷喜紀教授に、この幼虫の正体を尋ねると…。

(南九州大学昆虫生態学研究室 新谷喜紀教授)
「これはキオビエダシャクに間違いありません。木の下の方は被害が少ないが、上の方がほとんど葉っぱがない、枝が見えるという食害の傾向もキオビエダシャクに間違いない。」

この街路樹を管理している県の土木事務所は・・。

(県土木事務所道路課 山高孝一郎主幹)
「昨年に比べても、キオビエダシャクの発生に関する苦情が多いと認識している。例年だと薬剤散布は年1回だが、発生の苦情を伺って今年は追加で1回、計2回薬剤散布をしている。」

これまで、県内のキオビエダシャクによる食害は、生け垣用などのイヌマキがほとんどでした。新谷教授はナギの木にまで被害が広がった理由について、個体数が増えたことが関係しているとみています。

(南九州大学昆虫生態学研究室 新谷喜紀教授)
「マキ科という両方とも同じ科。キオビエダシャクにとっても、食料が不足してきたので大好物がイヌマキだとしても、二番手のナギを食べなければいけないという状況が起こっているかもしれない。」

ナギの木の被害は、街路樹だけではなく、宮崎神宮の境内にも広がっていました。

(宮崎神宮 石塚和也禰宜)
「以前からヒトツバ(=イヌマキ)を中心に被害が出ていたが、特に今年の5月から6月は境内のナギの木にも被害が及んでいる。」

ナギは葉が裂けにくいことから、夫婦円満や縁結びのお守りとして重宝されていて、神社にはよく植栽されている木だということです。

(宮崎神宮 石塚和也禰宜)
「昔からガイドさんも(ナギを)「チカラシバ」ということでご紹介いただいているので、非常に大切な木。なんとかこの状況を打破して食い止めたい。」

新谷教授は、キオビエダシャクの食害は地域単位での対策が必要だと話します。

(南九州大学昆虫生態学研究室新谷喜紀教授)
「年間で4回から5回くらい発生するので、あるところで増えてしまったら、一生懸命駆除をしているところにも飛んで行って産卵するということになるので、地域ぐるみでの防除が必要になる。」

新谷教授によりますと、キオビエダシャクの幼虫はイヌマキやナギの毒性を体に取り込んで、鳥に食べられないようにしているため数が減らない。本来は冬は越せない虫だが近年は温暖化で暖冬になり、冬を生き残る個体が多く大量発生に繋がっているのではないかと考えられているという事です。

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