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#〇〇がお伝えします!
2024年01月10日
遠隔授業のこれからは 課題と可能性(2024年01月09日放送)
#○○がお伝えしますのコーナーです。
県立高校での遠隔授業についてお伝えします。
県内では3年前から、ICT機器を使って距離の離れた高校をオンラインでつなぐ遠隔授業が行われています。
遠隔授業は現在、実証的に県立高校2校で理科、情報、国語などを対象としていて、美術など実技を伴う教科をオンラインでどのようにして授業をしているのか、取材しました。
教師が遠隔授業に課題を感じる一方で、県教委は人口減少が進むなか、小規模校を守る手段の一つとして捉えているようです。
(児玉泰一郎 アナウンサー)
「日南高校に来ています。今授業が始まりました。美術の授業ですが、美術室に生徒はいません。福島高校の生徒にオンラインで授業を行なっています。」
日南高校の美術を担当する井上篤先生。
県南にある日南高校、日南振徳高校、福島高校の3校の美術の授業を1人で担当しています。
2022年度までは、日南高校で勤務している井上先生が日南振徳高校と、串間市にある福島高校に出向いて授業をしていました。
2023年度からは、福島高校に対し授業の内容によって遠隔授業を取り入れています。この日は「鑑賞」の授業。芸術作品を見る目を養うことが目的です。
画面上の部屋の雰囲気に合う絵画作品を生徒が選び、その理由を発表します。
教師は離れた場所とつないで行う遠隔授業の可能性をこう話します。
(日南高校 井上 篤 教諭)
「例えば都城が一番近い美術館になりますけど、行くだけで一時間以上かかる。協力をいただいて美術館が所蔵している作品を生徒たちが(オンラインで)鑑賞するというのは、機会としてはいいと思いますし、やっていきたいとは思っています。」
ただ、デッサンの授業で画面を通した遠隔授業では、生徒が書いた絵の細かい色彩や立体感などを評価する際に、課題が見えたそうです。
(日南高校 井上 篤 教諭)
「グラデーションというのも、人間の持っている視力と(カメラ)は異なってくるので見え方が変わってしまう訳です。デッサンや制作、表現活動を見取るのはオンラインでは非常に難しいかな。」
一方で、生徒は遠隔授業をどのように捉えているのでしょうか。
福島高校では1年生が、サポートする職員立ち合いのもと授業を受けていました。
(福島高校の生徒)
「先生が離れていても、対面して授業できる感じ。」
「声がうまく聞き取れなかった時は、ちょっと困ります。」
「(専門の)先生でしか説明できない言葉とか、わかりやすさとかあるから受けてて楽しいと感じます。」
福島高校では美術以外にも情報や理科などで宮崎南高校の教師から遠隔授業を受けています。
また、県内では高千穂高校の生徒が、延岡高校や五ケ瀬高校の理科や公民などの教師から遠隔授業を週に数時間受けています。
遠隔授業は、文部科学省が小規模校の教育環境の改善を目指し進めているもので、県内では2024年3月までの3年間、実証的に授業を行っています。
(県教委 高校教育課 上水陽一さん)
「小規模校が増えているなかで、どの地域にいても同じ学びが得られる。地方から都市部へという流れは全国的にあるなかで、地域の良さを地域で実感する。その中で地域に学校が存続することの意義を感じています。」
一方、美術教師は生徒と対面しての授業が理想と話します。
(日南高校 井上 篤 教諭)
「思いっきり褒めたたえたいですけど、それができないですよね。もちろんこの画面越しにはできるんですけど、もっとライブ感を持って、『ここに気付いたのすごいね!』みたいなのを目指したい。」
教師は遠隔授業の利点と課題を明らかにするため、実証授業に取り組んでいました。
県教委は、授業内容によって遠隔授業への向き不向きがあることや、配信用の教材を準備する教師の負担など課題を見つけるとともに可能性も見出していました。
(県教委 高校教育課 上水陽一さん)
「専門の先生がいない学校も少なからずありますので、専門性の高い先生の授業を受けることができたり、習熟に合わせてクラスが開設できるのが遠隔の強みかなと思っている。地域の学校を守っていく、支えていくという視点で遠隔授業が活用できないかという研究を続け、県としてできることを検討していきたい。」
この遠隔授業は国の支援を受けて行われていて、国は2024年度も遠隔授業を行う方針です。
県は3年間の成果や課題をもとに、今後について検討したいとしています。