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2024年09月10日 18時44分

心臓病患者の救命率向上へ 心電図伝送システム導入 救急隊と医療機関の連携強化

今週は「救急医療週間」です。特集は救急医療の現場に注目します。
発症から治療までの時間が命を左右する急性心筋梗塞の救命率向上を目指そうと、宮崎市の救急医療現場では、患者を搬送する段階で心電図を医師と共有できる新たなシステムが導入されています。

日本人の死因でがんに次いで多い「心臓病」。
厚生労働省の人口動態統計によりますと、去年、宮崎県内では、心臓病で2615人が亡くなっています。
中でも、血管が詰まることで心臓の筋肉に血液が届かなくなる急性心筋梗塞は、突然死の原因として最も多い病気と言われています。

(宮崎市郡医師会病院 柴田剛徳副院長)
「詰まって筋肉が壊死していくと突然死の原因になったり、心臓が破れたり、2~3時間で再灌流してあげれば筋肉がかなり助かるので、とにかく早く診断することがとても大事」

急性心筋梗塞の患者受け入れ数で国内トップ10に入る宮崎市郡医師会病院です。
こちらの心臓病センターでは、専門医約30人、看護師などのメディカルスタッフ約150人が在籍し、24時間365日体制で救急患者を受け入れています。

(高松誠医師)
「前胸部でST上昇がありそうですね。患者のバイタルサインを教えてください」

3年前、この病院に導入されたのが「12誘導心電図伝送システム」。
119番通報を受けた救急隊員が、救急車両の中でとった患者の心電図を離れた場所にいる専門の医師に共有できるシステムです。

(高松誠医師)
「どの端末もこのシステムが入っていますので、それを使って診る。モバイル端末の中にもシステムが入っているので、モバイルでも診ることができる」

これまでも同様のシステムはありましたが、心電図の画質が悪い、伝送時間がかかるなどの課題があり、救急隊員が患者の症状などを電話で伝えて受け入れ先の病院を探すのが一般的でした。
このシステムを使うことで、症状の判断が難しい場合でも早い段階で専門の医師が心電図を診られるため、患者が病院に到着する前に必要なスタッフを集め治療態勢を整えることができるようになりました。

(宮崎市郡医師会病院 柴田剛徳副院長)
「(患者が)来られることがわかれば、夜間でもドクターを4~5名呼び出すことが可能です。患者さんが到着する前に。集中治療室と言われる血管造影室の準備も整っていますので、すべてが非常に早く病院の中で対応できる」

このシステムを使って、去年3月から今年2月までに宮崎市郡医師会病院に心電図が伝送された件数は65件で、前の年の1.7倍に。患者が病院に搬送されてからカテーテル治療が終わるまでの時間は、システム導入時に比べ23分短縮されました。

(宮崎市郡医師会病院 柴田剛徳副院長)
「1分2分でも早く治療が完結できるということになれば、これを継続することで、救命率もより上がっていくと考えています」

宮崎大学医学部附属病院も心電図伝送システムを導入した医療機関の一つです。

(宮崎大学医学部 海北幸一教授)
「(大学で)急患の患者を増やすために目をつけたのが、SCUNAという心電図伝送システムだった」

宮崎大学で今年3月に開かれたセミナーでは、このシステムの開発に携わった自治医科大学附属さいたま医療センターの藤田英雄教授が講演。
先行導入した他県の実例を紹介、心電図の情報共有を通して救急隊と医療機関の連携強化につながっていることなどを説明しました。

(自治医科大学附属さいたま医療センター 藤田英雄教授)
「我々は患者さんが来られてからのDoortoBalloonTime(病院到着から治療までの時間)を縮めることも重要なのですが、病院の中で完結する医療と、病院の前、消防隊や救急救命士はプレホスピタル(病院に搬送前)のチーム医療の一員であると今後考えていかなければならない」

宮崎市郡医師会病院の柴田副院長は、こうした最新技術を導入するとともに、救急医療に携わる関係機関と連携を密にしながら、患者の救命率向上を目指したいと話します。

(宮崎市郡医師会病院 柴田剛徳副院長)
「東京では救えるけれども宮崎では救えない。こういった地域差のないように、最先端の医療を取り入れて宮崎で完結できる医療を目指したい」

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