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2025年01月17日 18時48分

阪神淡路大震災30年で変わった災害医療・南海トラフ地震への備え

阪神・淡路大震災では、6434人が亡くなり、4万3792人が負傷しました。
この甚大な被害を教訓として、災害時医療のあり方が大きく転換しました。

その一つがDMAT=災害派遣医療チームです。
宮崎県内の救命救急医療の第一線で活動する医師に、南海トラフ巨大地震への備えと今後の課題を聞きました。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「阪神淡路大震災が日本の災害医療体制の充実をずっと後押ししたと思っています」

こう話すのは、県内の救命救急医療の第一線で活動している落合秀信医師です。

Q・発災当時、先生はどう過ごされていた?
(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「県央地区の病院で脳神経外科医として勤務していました。ピンとこない状況でした。すごいことが起こっているな、大変だなと」

当時、国内では災害医療の支援体制が確立されていませんでした。
この震災で浮き彫りとなったのが初期医療の遅れ。
通常の救急医療が提供されていれば救命できたと考えられる「避けられた災害死」が500人にのぼると報告され、医師が災害現場で医療を行う必要性が指摘されました。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「阪神・淡路大震災は、災害医療のウェイクアップコール、いわゆる目覚ましコールと言われています」

そして震災をきっかけに組織されたのが、災害派遣医療チーム=DMAT。
発災から48時間以内に被災地に駆けつけ活動する医師や看護師などの医療チームです。
これまで大規模な災害が発生するたびに全国のDMATが出動してきました。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「救命医療で3日間、現地でトリアージして重症の人の応急処置をしてというのが目的だった。最近は変わってきて、まず災害拠点病院をカバーするという形になっています。心のケアや感染症など、きめ細かな支援が必要と実感したところです」

県によると、南海トラフ巨大地震の県内の被害は死者が最大1万5000人、避難者は30万人以上にのぼると試算されています。
その時、県内の医療体制はどうなるのでしょうか?

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「県内の医療施設の主だったところはたいてい沿岸にある。病院の機能は低下するだろう。幹線道路も沿岸にある。交通も遮断されるんじゃないか。高齢者施設も沿岸に多い」

落合医師は、県外からのDMATの支援は十分に見込めないと話します。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「南海トラフが起こった場合は、おそらく宮崎には(DMATは)ほとんど来ないと思いますので、自助・共助が大切になってくると思います」

DMATは人口密度の高い都市部に優先的に派遣される上、道路が寸断されてDMATの到着に時間がかかる可能性も大いにあると言います。

そんな中進めてきたのが、県内での災害医療体制の強化です。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「県北、県央・県南、県西部にDMATの活動拠点本部を立てて、そこに(県内の)DMATが入って一緒に支援する形になっています」

県内ではそれぞれの地域で自立して医療を続ける訓練をしているほか、県外のDMATや行政などが参加しての大規模な訓練も年に4回行われています。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「今後重要になるのは(発災)3日以降の災害医療をどうするか。急性期はDMATが頑張りますが、医師会、JMAT、日赤の救護班、各医療機関の先生など顔の見える関係を作ってネットワークを作っていかないと、完全な災害対応は難しいと思います」

「被災地のなかでなんとか医療を継続していく」
中長期的な災害医療体制の構築に向けた取り組みが続いています。

1月17日(金)

1月14日(火)

1月13日(月)

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