番組表
2025年01月20日 18時46分
震度5弱の地震から1週間 高層ビルが揺れる…長周期地震動とは
日向灘を震源とする最大震度5弱の地震から20日で1週間です。
マンションの上層階に住む方の中には、「震度5弱以上に揺れた」と感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
その原因として考えられるのが、「長周期地震動」と呼ばれる揺れです。
一体どのような揺れなのでしょうか?
今月13日の地震発生時、ビルの上層階が横にしなるように揺れたアミュプラザみやざきのうみ館。
窓を見るとカーテンが左右に揺れているのも分かります。
なぜアミュプラザの上層階があれほど揺れたのか。
防災工学が専門で宮崎大学工学部の村上啓介教授に映像を確認してもらうと…
Q.どのような揺れになるのでしょうか?
(宮崎大学工学部 村上啓介教授)
「明らかに、2~3秒くらいの周期で揺れていましたから、これは長周期の揺れに入る揺れですね」
村上教授が指摘した「長周期」の揺れ。
周期は揺れが1往復するのにかかる時間のことで、この周期が1.5秒以上~8秒以下の長く大きな揺れのことを、「長周期地震動」と言います。
地震の持つ周期と建物自体が持つ固有の周期が近くなったときに、高層の建物では、大きな揺れが発生しやすくなります。
(宮崎大学工学部 村上啓介教授)
「地震が起きれば、全ての高層マンションが同じように長周期で揺れるかっていうと、必ずしもそうではない。地震によって(被害の)結果は違ってくる」
長周期地震動の特徴は大きく3つあります。
まず、震源が浅く、マグニチュードが大きな地震ほど発生しやすく、高層ビルやマンションなどは建物の周期と一致すると長時間揺れます。
そして、地震が発生した場所から数百キロ離れたところでも長く大きな揺れが発生します。
2011年に起きた東日本大震災では、震源地となった東北沖からおよそ400キロから700キロも離れた東京や大阪などでも高層ビルが揺れ、エレベーターが止まるなどの影響が出ました。
同様のことは、南海トラフ地震でも指摘されています。
(宮崎大学工学部 村上啓介教授)
「南海トラフってものすごい広い範囲に設定されていて、遠いところで起きたとしても、長周期の地震動はやってきて、高い建物を大きく揺さぶることが当然起こりますし、まずそれを知っておいていただいて、それに対する対策はとっておく必要がある」
気象庁は、2013年に長周期振動の揺れの大きさを示す「階級」を導入しました。
今月13日の地震では、宮崎市と小林市で「ものにつかまらないと歩くのが難しい」階級2を観測していて、宮崎市のマンションの15階では、キッチンの引き出しが飛び出し、モノが散乱しました。
また、去年8月に起きた日向灘を震源とする最大震度6弱の地震では、階級3を観測。
この時、宮崎市のマンションの11階では、ピアノが10センチほど動いていました。
重たくて大きな家具をも簡単に動かしてしまうほどの威力を持つ「長周期地震動」。
村上教授は、宮崎県は長周期地震動が起こりやすいと指摘します。
(宮崎大学工学部 村上啓介教授)
「今回1月の地震も昨年の8月の地震も、震源の深さとしては30キロくらい、比較的浅い震源で強い地震が起きている。宮崎平野は砂地盤の堆積層ですから、日向灘で起きた地震の揺れがそのまま長周期が県内全域に広がっていきやすい。宮崎県、長周期地震動には、しっかりと注意をしておく必要があると思います」
高層ビルやマンションなど高い建物の揺れを大きくする長周期地震動。
宮崎市内は最近10建て以上のマンションの建設も増えているから心配な人も多いのでは…
対策について、村上教授に聞きました。
まずは、家具の固定。
会社などでは、キャスターが付いているプリンター複合機などを床に固定することも重要だそうです。