番組表
2025年01月24日 18時47分
人手不足に直面する全国2位の乾しいたけ産地 「農福連携」に活路
おととしの宮崎県の乾しいたけの生産量は約310トンで全国2位です。一方、生産者の減少や気候の変化などが重なり、県内の乾しいたけの生産量は減少傾向にあります。
しいたけの量を確保するべく、ある卸売業者は、障害者就労支援施設と連携し、手間やコストを抑えた栽培に取り組んでいます。
今週、宮崎県日向市の椎茸流通センターで開かれた乾しいたけの初入札会。秋に暖かい日が続いたり、雨が少なかったりしたため、原木しいたけが成長せず、初入札会への出荷量は約4189キロと去年より約6割減少しました。そのため、平均単価は1キロ7536円と初入札会では過去最高を記録しました。
(日向市の卸売業者)
「非常に高値で推移していると、品不足感からの高値だと思います」
(西都市の卸売業者)
「入札会を重ねるごとに価格が上がってます」
乾しいたけは、去年の春から入札価格が上昇。卸売業者は、赤字でも入札せざるを得なかったり、十分な買い付けができず、スーパーなどが求める需要にこたえられなかったりするケースが出ています。
(卸売業者)
「業者的にはすごくひっ迫している状態で、ほとんどの会社が赤字で出している状態だと思います」
一方、生産者は高齢化により減少。価格が上昇しても収穫量が減っているため、収入は厳しい状況だと話します。
(諸塚村椎茸部会 小川重好部会長)
「生産者は70歳超えている人も多い。高値とは言っていますけど、今の値段ぐらいないと、生産者は減っていくのではないか」
県内の乾しいたけを取り巻く厳しい現状に、高千穂町の干ししいたけ卸売業者「杉本商店」は、延岡市の障害者就労支援施設と連携。3年前からしいたけの生産量を確保する取り組みを行っています。
この取り組みでは、杉本商店が原木を無償で提供し、発達障害などがある利用者が駒打ちや収穫などを行います。
生産された乾しいたけは全て、杉本商店が買い取るため、利用者の収入確保にもつながっています。
(利用者)
「とても楽しいです。収穫がいっぱいできたときはとても嬉しいので、またこういう機会があればいい」
しいたけの栽培場所は多くが山の中ですが、この取り組みでは、旧美々地小学校のグラウンドを活用。土地が平らで、作業がしやすいのが特徴です。
また、川の水をポンプでくみ上げて、ほだ木に散水することで、雨頼みだったしいたけの発生や成長をコントロールすることができ、水道代もかかりません。
さらに、有明のりの養殖で使われていたポールを再利用してほだ場を作るなど、コストを抑えた栽培に取り組んでいます。
しかし、止まることのないしいたけの生産量の減少に、杉本商店では、農福連携だけではなくさらなる取り組みが必要だと感じています。
(杉本商店 杉本和秀社長)
「まったく農業をやったことがないけど、新たにトライしたいという方たちにも栽培のノウハウを提供したりしながら、生産してくれるグループを作るような形でやっていく必要があると思います」
高齢化や気象条件が変化する中、全国2位の乾しいたけの生産をどのようにして守っていくのか模索が続いています。