番組表

2025年03月05日 18時46分
ごくわずかな伸び縮みを観測 南海トラフ地震の予測精度向上めざしひずみ計設置
続いては特集です。
こちらは「ひずみ計」と言われる地下の岩盤の伸び縮みを観測できる機器です。
今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震の“予測”を目指し、5日、延岡市にひずみ計が設置されました。
ひずみ計が設置されたのは、延岡市にある北方総合運動公園のテニスコート跡地です。
ひずみ計は、直径66ミリ、長さ3メートルほどの円筒型の観測機器で、国の研究機関・産業技術総合研究所が事業費およそ4億4000万円をかけて整備しました。
(末永進吏記者)
「岩盤の伸び縮みを観測できるひずみ計がこれから250メートルほどの深さのところに埋設されます」
「では、降下を開始します」
このひずみ計は、岩盤のごくわずかな伸び縮みを観測することができ、複数の観測地点で得られたデータを組み合わせることでプレートの動きを分析できます。
この観測網によって把握しようとしているのがプレートの境界がゆっくりとすべる「スロースリップ」という現象です。
(産業技術総合研究所 板場智史主任研究員)
「あくまでシミュレーションの一例ではあるが、巨大地震の発生が近づくと、スロースリップの起こり方が変わる」
「発生間隔が変わったり、発生する場所が変わる。通常とは異なるスロースリップを検出することがカギになる」
産業技術総合研究所では、2006年度から南海トラフ沿いの愛知・紀伊半島・四国・大分にひずみ計を整備。延岡市は20地点目、九州では2地点目になります。
(産業技術総合研究所 板場智史主任研究員)
「(これまでは)豊後水道や日向灘で発生するスロースリップを詳しく把握することができなかったので、今回、宮崎県延岡市にひずみ計を設置することによって、将来的には南海トラフ沿いで発生する巨大地震の予測につなげていきたいと考えています」
延岡市に設置されたひずみ計のデータは、茨城県つくば市の産業技術総合研究所にリアルタイムで送られるほか、およそ1年後には気象庁による地殻変動の監視にも活用されるということです。
(児玉泰一郎キャスター)
こうしたひずみ計のデータは、去年8月と今年1月に発表された南海トラフ地震臨時情報を出す際にも活用されます。
南海トラフ地震の調査が始まる条件には、南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生した場合、そして「南海トラフ沿いで異常な現象が観測」された場合の2つがあります。
これまでの2回は「マグニチュード6.8以上の地震」という条件を満たしたため、発表されました。
そして、もう一つの「異常な現象」というのがプレート境界で起こるスロースリップなどです。
この「異常な現象」を把握するために産業技術総合研究所や気象庁が整備しているひずみ計が活用されるということです。
産業技術総合研究所が整備してきたひずみ計は延岡市が最後で、担当者は、「スロースリップがなく、突然、地震が発生する可能性もある」とした上で、「まずは、通常起こっているスロースリップについて研究を進めていきたい」としています。