番組表

2025年04月16日 18時48分
「プッシュ型支援」が始まった熊本地震から9年 新たに完成した宮崎県の災害支援物資拠点
9年前の4月14日と16日の2度、熊本県益城町を震源とする震度7の地震が起こりました。県内でも9年前の4月16日に椎葉村などで震度5強を観測しました。
16日は、大規模災害の際の備蓄体制についてお伝えします。
熊本地震では、想定を超える避難者が出て、支援物資が不足しました。国などからのプッシュ型支援で物資は届きましたが、配送などがうまくいかなかったことに加え、道路が渋滞し、被災者のもとに届くまでに時間がかかりました。
プッシュ型支援は、大規模災害が起こった場合、国が被災した都道府県からの要請を待たずに、避難所などに物資を緊急輸送する仕組みです。しかし、届くまでに、4日かかるとされているため、最低でも3日分は、それぞれの地域や家庭で備蓄する必要があります。
宮崎県では、南海トラフ地震などを想定し、高鍋町に災害支援物資拠点を整備。今年1月から運用が始まっています。
(早瀬純哉記者)
「広々とした倉庫には、3段式のラックがずらっと並んでいます。現在は収容率約3割ほどですが、すべて埋まると1日に必要な食料や簡易トイレなど約27万人分が備蓄できるということです」
県は、南海トラフ巨大地震が起きた場合、発災翌日に支援物資が必要となる人数について、避難所と車中泊あわせて約26万9000人と見ています。
高鍋町の県立農業大学校の敷地に完成した災害支援物資拠点です。
国が定めた基本8品目、食料・毛布・携帯トイレなどの大量の物資の備蓄や受け入れが可能で、今年1月に運用が始まりました。
(県危機管理課 中邨勇一主幹)
「標高が約60mで、津波や洪水、土砂災害などの災害リスクも少ない」
この施設の延べ床面積は約3000平方メートル。これまで旧都農高校をはじめ、公共施設の空きスペースなどで物資を備蓄していましたが、搬出にコストがかかることや、スペースが狭いといった課題がありました。
(県危機管理課 中邨勇一主幹)
「エレベーターもない中、校舎の3階部分に段ボールを置いていたので、実際に必要な時は人手をかけて、少しずつ運び出さなければならない。非常に効率の悪い労力のかかる場所だったので、この施設だと解決できる」
この施設は、フォークリフトやハンドリフトも使える十分なスペースも備えています。
プッシュ型支援で次々に届く物資を、早く被災者に届けられるよう備品の搬入・搬出を効率化する工夫も…。
(早瀬純哉記者)
「備蓄品のすぐ横には、搬入口があるんですが、停電でも手動であけられるようになっています。外に出てみると、トラックへの積み下ろしがしやすいように高床式となっています」
目の前には、幹線道路の国道10号が通っています。また、航空自衛隊新田原基地に近く敷地内には、グラウンドもあるため、空輸に対応できるといったメリットも…。
今後は、運ばれてくる荷物をスムーズに仕分ける荷捌き場も屋外に整備される予定です。
(県危機管理課 中邨勇一主幹)
「物流事業者、トラック協会、倉庫協会などと協力しながら運営していきたいと考えているし、輸送については、訓練などを通じて、しっかり被災者に届けられる体制を構築していきたい」
県内には このほかに県庁など5カ所に備蓄場所があります。県内全体でこれまでに、目標に対し食料は3割、携帯トイレは6割を用意できているということです。