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空の色の話 2018年10月25日
先日は夕焼けの色の話をしたところですが、つづいて日中の青空の変化の話です。
春から夏にかけては、晴れていても空の色が白っぽくなることがあるのですが、秋になると澄んだ青い空になることが多くなりますね。
この空の色の変化には、大気中の水蒸気の量が関係しています。
夏は1年の中でも大気中の水蒸気が多い季節です。
太陽の光はだいたい7色に分解されますが、水蒸気の量が多いとすべての色を散乱して色が混ざるため、空が白っぽく見えます。
これは雲が白く見えるのと同じ理屈で、ミー散乱といわれる現象です。
※水蒸気は無色透明なので目に見えないのですが、イラストは分かりやすいようにあえて白っぽくしています。
では、なぜ夏に水蒸気が多くなるのか、このような理由が考えられます。
夏は植物の活動が活発化して葉から蒸発する水分が多くなり、気温の上昇によって水面から大量の水分が蒸発することで、基本的な水蒸気の量が多くなるんです。
また、太平洋高気圧の位置や台風の発生によっては、さらに大量の水蒸気が運ばれることもあります。
秋になると植物は葉を落とし、気温も下がるため、水蒸気の物理的な量は減っていきます。
ということで、秋の空は水蒸気に邪魔されずに太陽の光が地上に届きます。
昼間は波長の短い青い光をよく散乱するため、秋は空がより青く見えるんです。
白っぽい空の色とは異なる現象で、レイリー散乱という現象です。
ちなみに、飛行機の窓から空を覗いてみると紫っぽく感じると思いますが、これは上空に行くほど大気の層が薄くなるため、青色より波長の短い藍や紫色を散乱しやすくなるためです。
なお、太陽の高さも多少関係はあって、同じ昼間でも秋冬の方が大気の層を長めに通過しているものの、肉眼では違いが分からないレベルので、空の色を変える大きな原因は水蒸気の量といえるでしょう。