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Reらいふ
2017年10月11日
芸術を支える匠 神楽面彫師・工藤省悟さん(10月10日放送)
今週は「芸術を支える匠」をシリーズで紹介しています。
今日は、一人の若き匠に会いに高千穂町にやってきました。
雄大な自然に抱かれ、県の内外から多くの観光客が訪れる高千穂町は、八百万の神がすんでいたと言われる神話の里です。
この町で毎年11月中旬から約3カ月間行われる「夜神楽」は、神々に感謝をささげ五穀豊穣を祈る祭で国の重要無形文化財にも指定されています。
その夜神楽になくてはならないのが「神楽面」です。
高千穂町の工藤省悟さん、代々神楽面を奉納する工房の4代目です。
Q:歴史ある伝統工芸を継ぐというのは、省悟さんにとってどんなことでしたか?
そうですね、家業でやっているということもあり、小さい頃から身近なものだったので、継いで当たり前というのがありましたね。
省悟さんが師と仰ぐのは、県の伝統工芸士で父親の浩章さんです。
何を作るにも難しい部分というのがあるので、そこを乗り越えたら楽しい仕上げが待っているので、そこは辛抱して取り組んでもらいたいと思います。
工藤さんの工房で代々彫ってきたのは、力自慢の神「手力男命」の面と芸能の神「天鈿女命」の面です。
神社に奉納される舞用の面には、軽くて高級な桐の白木が用いられ、一般の装飾用には、香りが良くて木目が美しい楠が使われます。
Q:ずいぶんたくさんの彫刻刀があるんですね。
そうですね、百本ぐらい、あります。
男面と、女性の女面とでは使う道具が全く違うためです。
舞に使われる面は、「神が宿る」と言われ、四百年以上も使われます。
省悟さんは、後世に伝えられる神楽面づくりをめざし、その技に磨きをかけています。
まだまだ練習を重ねて、より良いものを作っていかないとな、という気持ちでいっぱいですね。
五百年、六百年先のことを考えて、何百年も残るようなものを作っていきたいと思います。
また、工房では 装飾用の面も制作していて、魔除けや縁起物として喜ばれています。
今年も夜神楽の季節がやってきます。
神楽を楽しんだ後は、匠の工房を訪ねてその技に触れてみませんか?