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2022年05月30日
雨のシーズンを前に 変わる防災情報(2022年05月28日放送)
これから大雨、台風のシーズンがやってきます。
年々その猛威を増しているのが「線状降水帯」です。
この線状降水帯について、気象庁は来月から新たな情報発信を始めます。
2020年7月に九州を襲った豪雨災害。
熊本県人吉市で11時間半にわたって激しい雨が降り、球磨川が氾濫。
堤防が決壊しました。
球磨川から約70m離れた防犯カメラの映像では、午前6時51分頃はまだ車が通れる状態でしたが、みるみるうちに水かさが増加し、午前7時7分には住宅の一階部分まで浸水しました。
わずか16分の出来事でした。この被害を引き起こしたのが線状降水帯です。
- 【話:宮崎地方気象台 観測予報管理官 土屋 春彦さん】
局地的な前線や山地など地形の影響で、暖かく湿った空気が持ち上がって雲が発生し、発達した積乱雲が上空の風の影響で同じところに次々と流れ込みます。この線状降水帯の下では、非常に強い降水域が同じ場所で続くため、大雨が発生します。
線状降水帯の代表的なメカニズム
- 低層を中心に暖かく湿った空気が流入
- 前線や地形などの影響で雲が発生し積乱雲に発達
- 上空の風の影響で積乱雲などが線状に並ぶ
線状降水帯の影響で、去年7月にはえびの市内に県内で初めて大雨特別警報が発表され、床下浸水などの被害が出ました。
- 【話:宮崎地方気象台 観測予報管理官 土屋 春彦さん】
去年7月10日の大雨により、えびの市では降り始めからの総降水量が300ミリを超える大雨になりました。線状降水帯の予測は、今の技術では難しく、昨年7月もなかなか予測できていませんでした。
いつどこで発生するか事前の予測が難しいとされる線状降水帯。気象庁は6月1日から新たな取り組みを始めます。
- 【話:宮崎地方気象台 観測予報管理官 土屋 春彦さん】
気象庁は、線状降水帯予測を6月1日から開始します。この情報は線状降水帯による大雨の発生する危険性が高くなった場合に、最大で半日前から府県情報(地域ごと)で発表します。例えば宮崎県の場合は「九州南部地方」といったかたちで表現します。さらに、スーパーコンピューター「富岳」の活用や大学、研究機関の協力を得ながら、予測精度を向上させていく計画です。
線状降水帯による被害が最近頻発しているので、気象庁ではこういった被害を軽減する意味で線状降水帯の情報を発表するために動いています。
甚大な被害を引き起こす線状降水帯。
気象庁は今後さらに精度を上げていき、2029年度には市町村単位の予測を目指します。
線状降水帯の予測が出された際に今自分のいる場所の危険度を具体的にわかりやすく知る方法について、気象予報士の酒井さんに聞きました。
- 【気象予報士 酒井 晋一郎さん】
線状降水帯の予測が発表された後、実際に雨が降り出したら確認してもらいたいのが「キキクル」です。
キキクルは土砂災害発生の危険度を1km四方の範囲で確認できるなど、災害発生の危険性の高い場所を正確に知ることができます。
キキクル(危険度分布)
土砂災害や洪水などの災害発生の危険度を地図上でリアルタイムに確認できる気象庁のウェブサイト。
- 【気象予報士 酒井 晋一郎さん】
令和2年7月豪雨を例に見ていきましょう。
九州南部では赤や黄色のエリアが広がり、7月4日未明ごろからは熊本県の球磨地方を中心に濃い紫色のエリアが広がっています。このため球磨川流域では実際に土砂災害や河川の氾濫などが発生しています。6月30日からはキキクルの色分けが変わり、災害発生の危険度がより分かりやすくなります。スマートフォンなどから簡単に確認することできるため、迅速な避難行動に繋げるようにしてください。
キキクル 6月30日 ~
5段階の表示になり、下から上にいくほどに危険度が増します。 警戒レベル5相当を表す黒(災害切迫)が新たに設けられ、この黒が出されているときは大雨による災害がすでに起きている可能性が高い状況です。
紫色になるまでのうちに避難を終えておく、身の安全を守る行動を取っておくということが大事になります。
ペットボトルランタン
水の入ったペットボトルを、懐中電灯やスマートフォンのライトの上に置くだけで、光を広範囲に広げることができます。
スポーツドリンクのように少し濁った液体を使用すると、より光が拡散され効果的です。
警視庁のサイトでも紹介されている簡易的なランタン作りですので、いざという時にぜひ活用ください。