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特集
2023年07月17日
スポーツで継承 沖縄の伝統船「サバニ」の今(2023年07月15日放送)
沖縄県の離島で4年ぶりに行われた「サバニ帆漕レース」。
大きく帆を広げ、風を使いながら青く透き通った海の上を駆け抜ける、沖縄の伝統の船です。
糸満では、「サメ=サバ、漁に行くこと=アッキ、船=ン二」と言うことから「サバニ」になったと言われている船。
今からおよそ300年前、中国との交易品としてフカヒレが重宝されていた琉球王国時代、サメを取るための漁船として使われていました。
■サバニ大工 大城清さん(73)
レースに出る多くの船を作っている糸満市唯一のサバニ大工。
昔から伝統で使われているのが「日南市の飫肥杉」
およそ140年前に琉球王国が解体され、人や物の行き来が自由になったことで、新たな材料として職人たちの目に留まったのが「日南市の飫肥杉」でした。
サバニの生命線となる飫肥杉が、戦後の暮らしを支えたと大城さんは話します。
大城さんの船づくりを支える 日南市 高嶺木材 高嶺 清二会長
日南飫肥杉の特徴
- 成長が早く年齢幅が広いため、曲げやすい。
- 害虫から身を守るための樹脂分が多く、腐りにくいのが特徴。
- 軽くて丈夫。
サメを獲るための曲線が必要なサバニには、軽くて丈夫、しなやかな飫肥杉が適しているのだそうですが、この木材を生かすのは熟練の技が必要なのだそう。
高嶺会長は、大城さんが求めるレベルの高い木材を製材していると話します。
また、船には釘を使用せず、沖縄の伝統的手法でつないでいるので、海水で錆びることがありません。
設計図は無く、経験と感覚を頼りに船造りをする大城さん。
最盛期は糸満市で800隻ありましたが、時代とともに激減しました。
かつて人々の生活を支えた「サバニ」が スポーツへ
時代とともに姿を消しつつあったサバニでしたが、2000年の沖縄サミットをきっかけに「サバニ帆漕レース」が行われるように。
スポーツとして形を変え、新たな命が吹き込まれました。
座間味で行われた4年ぶりのレースには、中学生から70代まで、沖縄、神奈川、大阪、宮崎などから29艇が参加。
座間味島から約35km離れた沖縄本島を目指します。
強い風と潮の流れの中、動力は風と人の力のみ。完走さえ難しいレースですが、予定より2時間遅れの6時間後、29艇中5艇が沖縄本島まで完走しました。
沖縄の海を駆け抜ける「サバニ」。
繋がれてきた伝統はマリンスポーツへと形を変え、未来へと生き続けます。
大城さんは「サバニ」が国の文化財に登録されることを目標に、若い人にむけて船の図面を残しているのだそうです。
- 【話:サバニ大工 大城 清さん】
(レースを終えて)苦しかったけど、楽しかった!!
できれば若いひとたちに乗ってもらって、ますます大きな大会にいくのではないかと思います。
宮崎と沖縄で繋がれてきたこの伝統が、スポーツという形で今注目されています。