日本を代表する総合化学メーカー「旭化成」。
創業100周年の節目の年に社長に就任したのが、旭化成創業の地・延岡市出身の工藤幸四郎さんです。
グループ全体で4万人を超える世界的企業の旭化成の社長に宮崎県出身者として初めて就任しました。

• 【話：旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  これから50年100年の企業を作っていこうことよりも、むしろ今ある目の前の社会課題をどう解決していくかというようなことを必死に頑張って、結果後輩たちも含めて10年、50年経ったということになればいいなと思っています。

旭化成は、延岡の地で、日本で初めて化学合成によるアンモニアの生産を開始。以来、事業の多角化を進め総合化学メーカーとして世界的企業へと発展してきました 。

• 【旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  1982年　慶應義塾大学 法学部 卒業 旭化成入社（大阪に配属）繊維を担当する営業マンとして第一線で活躍

過去に経験した大きなプロジェクト

担当していた「繊維」の需要が伸び、台湾や中国、タイなどの海外に新しい工場を作ったり、ドイツやアメリカの工場などを競合相手から買収したりと、30歳前半から大きなプロジェクトに携わってきた工藤社長。
その経験が自身のサラリーマン人生の骨格になっていると語ります。

工藤さんが主に扱っていた商品「ロイカ」

ストッキングやオムツのストレッチ部分などに使われている伸縮性のある繊維。
この「ロイカ」の増産のピークで生産量が上がっていた時は、繊維グループの中では一番の利益・収益率の高い素材になりました。
入社して40年。世界中を飛び回りながら経験を積み、社長に就任した今、責任や重圧は計り知れないものがあります。

• 【話：旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  創業100周年を迎えるというところで社長になるチャンスが当たったというのは偶然に違いないと思うんですけど、偶然ではなくても、ある意味導かれたというふうに考えて任期の間はベスト尽くして頑張るしかないなと思っています。

年に数回は仕事やプライベートで宮崎へ戻るという工藤社長。
延岡市に向かう車内でゆっくりと話を伺いました。

社長として初めて延岡に帰った時の思い出は？

• 【話：旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  ホテルチェックインした時にメッセージで「おかえりなさい」と書いてあったことが印象的で、小さな心遣いが心に響くものがありましたね。

旭化成にとって延岡とは？

• 【話：旭化成・工藤幸四郎社長】 
  新入社員が入ってきたら、まず延岡に集合して1カ月研修する。最後に送り出す時は、「お前らが頑張ってくれて工場が動くんだから」と激励をもらい、新入社員は涙を流す場面もある。それがあるから心新たに延岡から全国へ一斉に出ていく。旭化成と延岡は過去も未来も切り離すことができない関係。故郷そのものです。 

工藤社長の奥様も延岡出身だそうですが・・

• 【話：旭化成・工藤幸四郎社長】
  幼稚園から高校まで一緒です。・・・このタイミングでこの話はしたくなかった（笑）照れ臭い 

母校・延岡高校時代に抱いていた事

• 【話：旭化成・工藤幸四郎社長】
  東京に行きたかったですかね。東京の大学に行きたくて３年間頑張った気がします。勉強ばっかりだと味気ないので、運動やろうと思ってクラブにも入りました。
  （高校時代はハンドボールに所属し、インターハイに出場した経験もあるそうです）

延岡高校ハンドボール部の後輩たちとの交流

• 【話：延岡高校ハンドボール部　鈴木 悠莉 キャプテン】
  チームをまとめるのに大事なこととは何ですか？ 

• 【話：旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  なかなか難しいですよね、人をまとめるって。みんな性格も思いも違うので、コツとか、これだったら大丈夫だという結論はないと思うんですが、心がけてることを言うと、「自分の弱みも全部さらけ出す」。キャプテンだからとか先輩だから偉そうにするのではなく、「自分をさらけ出すこと」が一番大事。メンバーや仲間がどんな性格で何を考えてるかが分かった時に一番安心感を感じると思います。

• 【話：延岡高校ハンドボール部　鈴木 悠莉 キャプテン】
  僕自身もキャプテンをやっていて人をまとめる役目なので、トップ企業で大人数をまとめる社長の話を聞いて、貴重な体験ができて良かったと思います。
  延岡の発展とともに歩んできた旭化成の社長として、そして今なお成長を続ける100周年を迎えた企業の社長として、仕事をする上で大切にしていることとは・・？

• 【話：旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  人間関係の中では「信頼感」がある中で、共通の目標を持って進むことができるか、それが一番大事なことです。どこまでそれができたかは分かりませんが、心がけてきました。

宮崎の後輩たちへメッセージ

• 【話：旭化成 工藤 幸四郎 社長】
  「夢を持て」「やりたいことを見つける」など掻き立てられる風潮があるじゃないですか。だけど、自分が大人になって何をするのかを探し出すのは難しいと思うんです。漠然とした目標で全然問題ない。自分がやりたいことを言うのも大事ですけど、「自分はどういう性格で他の人とどこが違ってる」という自分の特徴を見つめ直すことがすごく大事だと思っています。高校生になるとそれがだんだんできるようになると思うので、自分の良さを見つける。もちろん人間ですから欠点もありますけど、それを理解した上で何を目指していくかっていうのを少し時間かけて考えたらいいんじゃないかと思います。