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2024年01月29日
逃げ遅れゼロへ 津波から命を守る備えを(2024年01月27日放送)
能登半島地震の発生から間もなく1カ月。
国土交通省の調査では海岸線から300メートル以上津波が押し寄せた地域もあると推計されています。
被災地の石川県野都町に派遣され支援業務から戻った小林市の職員に、現地での津波被害の現状を聞きました。
気象庁の調査によると、石川県の野都町では4.7メートルの津波が押し寄せたとみられます。
津波による死者はいませんでしたが多くの家屋が倒壊。
沿岸部の集落には津波の爪痕が残り、運動公園のナイター設備が折れるなど広い範囲で被害がありました。
- 姉妹都市の小林市から派遣され住民支援に当たった 小林市 総務課 柚木脇大輔 主幹
「川からも波が来ていたという話もある。1階部分が倒壊している家もあり、垂直避難も大切だが、より遠くに逃げるということがすごく重要だと感じた」と話します。
南海トラフ巨大地震の対策 延岡市では新たな避難タワーの整備が始まる
県内で大きな被害が想定される南海トラフ巨大地震。
津波は、宮崎市で最大16メートル、串間市では17メートルが押し寄せてくると言われています。
最大14メートルの津波が最大17分で到達すると予想されている延岡市では、夜間の発災や道路が被災した場合でも津波から逃げられるよう想定を改め、新たな避難タワーの整備を計画。
揺れが収まり身支度を済ませる5分間を差し引いた12分間での避難完了を目指し、市はこれまでも津波避難タワーを3カ所に整備するなど避難場所の確保に取り組んできました。
- 延岡市 危機管理課 柴田圭 課長補佐
「避難タワーを含めた緊急避難施設を約400カ所指定しています。17分の間にどこに避難をすればいいのか、避難ルートは大丈夫なのかなど、避難準備から完了までの備えを 日頃から考えてもらいたい」と話します。
延岡市は、高台や避難ビルなどを確保し、2021年度までに避難困難地域は解消したとしてきました。
しかし夜間に移動速度が低下することや道路が被災することなどを踏まえ、発災後に避難できる距離を見直しました。
発災後の避難で移動できる距離は、これまでの半径480メートルからおよそ340メートルに縮小され、新たに避難場所の確保が必要なエリアが出てきました。
北浦町古江のおよそ500人など市内4つの地区で逃げ遅れを防ぐため、津波避難タワーの建設を検討し、今月から市は自治会の役員に説明を始めています。
延岡市は、新たな避難タワーに水やトイレセットなどの備蓄強化も検討 する一方で「避難タワーはあくまで逃げ遅れた場合の施設」とし、その後に避難生活が続くことも踏まえ「より遠くより安全な場所を選択肢に入れてほしいと呼びかけています。
- 延岡市 危機管理課 柴田圭 課長補佐
避難ルートについて、「1つの考えにとらわれず、時間内でより遠くに逃げること、どこに避難ビルがあるのかをハザードマップ等で日頃から確認をしていただきたい」と話します。
宮崎県による 南海トラフ巨大地震による津波到達までの想定では、県内で最も早く到達するのは日南市の14分。 宮崎市では18分。
ただ、揺れが収まるまでの時間と避難する身支度をするための時間の想定も必要です。
避難に使える時間がどのくらいあるのか、沿岸部の10市町村に独自アンケートを行った結果、宮崎市では10分、日南市では9分でした。(避難にかかる時間、身支度時間はそれぞれ異なる)
赤い文字で示した時間は 避難に使える最大の時間と捉え、時間内に避難できるよう備えを見直していく必要があります。