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2024年08月19日

日向灘を震源とする地震 今後の発生リスクと対策(2024年08月17日放送)

日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生して約1週間が経ち、南海トラフ地震臨時情報について特別な注意の呼びかけが終了となりましたが、地震発生の恐れがなくなったというわけではありません。

8月8日に発生した日向灘の地震

午後4時43分頃、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生。
日南市で震度6弱、宮崎市、都城市、串間市で震度5強の揺れを観測し、県内全域に津波注意報が発表されました。
気象庁は、今回の地震を南海トラフ地震の想定震源域で起こった一部割れの地震と判断。
巨大地震との関連を調べる「南海トラフ地震臨時情報」を初めて発表しました。

01 落石

日南市宮浦の国道220号では大きな落石が発生。
鵜戸小学校前からサンメッセ日南までの約700mの区間が通行止め(解除は未定)

02 病院

日南市風田の谷口病院では6階部分の外壁が崩れ、鉄骨がむき出しに。
地面に敷き詰められたレンガも隆起し、ブロック塀が根元から倒壊しました。

03 鵜戸神宮

鵜戸神宮では石灯籠が倒壊。
楼門の手前の地面には約20メートルにわたって亀裂が入りました。

04 高千穂峡

県内有数の観光名所、高千穂峡峡の下流では、柱状節理の岩壁が高さおよそ10メートルにわたって崩落。

今回の地震の影響で、県内の宿泊施設では約1万9千人(8月17日時点)のキャンセルが出たということです。
また、県内ではけが人が10人、住宅被害は75棟に上っています。(8月17日時点)

長周期地震動による建物内での被害

家の中で家具が倒れたり、食器が割れたりという被害も多数確認されています。
特にビルの高層階や免震構造の建物で影響があったと考えられるのが、長周期地震動という揺れです。
長周期地動はマグニチュードが大きい地震が発生したときに、高層ビルなどが大きくゆっくり揺れる現象のことで、揺れが遠くまで伝わるというのが特徴です。
今回の地震では、この長周期地震動が南部山沿いでは4段階のうち上から2番目の「階級3」、北部平野部と南部平野部で「階級2」を観測しました。

マンション高層階特有の揺れと対策

高層マンションに住む人たちにとっては、高層階特有の揺れへのさらなる備えが求められています。

05 高層階のマンション

宮崎市の高層マンションで被害を受けた女性は、今も片付けに追われ先の見えない不安な日々を過ごしています。
宮崎市にある鉄筋コンクリートのマンションの12階の部屋は、棚などが倒れ、今も生活ができない状況です。
この日は社会福祉協議会のメンバーと青年会議所のボランティア、合わせて8人が片付けの手伝いに訪れていました。
女性はこの家にいると揺れを思い出し心が休まらないと話しますが、この経験を将来につなげてほしいと子どもたちにも片付けの様子を見学させていました。

06 片付けの様子

  • 【話:マンションの住人】
    今回災害ボランティアの方が動いてくださって、女手一人では絶対起こすこともできないし、どうしようもないところを助けてくださってすごくありがたさを感じるので、子どもたちにはこういう風になった時に助けられるような人になってほしいなと思って現場を見せている。
今後懸念される日向灘沖の地震

京都大学防災研究所 宮崎観測所の 山下裕亮助教は、日向灘の地震はまだまだ警戒が必要だと指摘しています。

山下助教によると、日向灘地震には3つのパターンがあるといいます。

07 割れ残り

  • 8月8日の地震で割れ残った領域でマグニチュード7クラスの地震が起きる
    今回の震源域では、過去に1996年の10月と12月に 地震が起こっている。
    12月の震源域は断層がどこで滑ったのかが分かっているが、10月の震源域は余震が(特に北側で)全く起こっておらず、割れ残りが存在すると考えられる。
    今回は、その隣で地震が起こったので、割れ残っている部分でM7クラスの地震が起こりやすいと考えられる。
  • 割れ残り+スロー地震によって マグニチュード8クラスの巨大地震が起こるという可能性
    今回の震源域のさらに沖合に「浅部スロー地震の震源域」がある。
    スロー地震は普段からよく起こる体で感じないほどの地震だが、このスロー地震と今回のようなマグニチュード7クラスの地震が相互作用を起こすことによって、地震の規模がさらに大きくなりM8クラスになってしまう可能性がある。
  • 日向灘の北部を震源とする マグニチュード7クラスの地震
    今回の震源域は南側で起こった地震だが、この北側には1968年に発生したマグニチュード7.5の地震の震源域がある。
    この地震が起こると今回よりもっと高い津波がくることが予想される。
    1968年の時には2メートルから3メートルの津波が襲ってきているので、津波警報レベルの津波がやってくる。

日向灘での地震は、南海トラフ地震よりも頻繁に起こる可能性が高いので、常日頃からの注意が必要です。

地震発生から1週間がたち、県内ではさまざまな対策を取りながら 日常生活が徐々に戻ってきています。

08 愛泉会日南病院

海岸からおよそ200メートル、海抜9メートルのところに立つ愛泉会日南病院。
重度の知的障害や体に不自由がある患者120人が入院しているこの病院では、地震が発生後、津波に備えて1階の入院患者42人を2階の内科病棟に避難させました。
当時エレベータは緊急停止されており、担架で2人1組で抱え上げ、人海戦術で階段を使って2階まで垂直避難を行ったといいます。
西島元利理事長は「将来的には 1階の病棟を2階への移転 、もしくは内陸部への 病院の移転も含め 検討していきたい」と話します。

営業を再開した日南市の大堂津海水浴場では、万が一の時に備え避難経路が書かれた看板が設置されました。
その他の対策として津波フラッグをすぐに使える場所に移動したほか、一時避難所までの経路が書かれたチラシを利用客に配布したり、遊泳エリアを浅瀬に縮小するなどして遊泳を再開しました。

南海トラフ地震が発生した際の 津波を想定した 避難のシミュレーションができるアプリ「逃げトレ」を使った避難の検証

09 逃げトレ

逃げトレ」は自分が今いる場所にどのくらいの時間で津波が来るかが分かる訓練用のアプリで、津波到達予想時刻までに 安全な場所に避難できるかシミュレーションすることができます。※「逃げトレ」で検索

10 避難の検証

避難を開始してから約9分で避難場所までたどり着くことができました。
日頃から周りの高台などを意識して、もし地震が発生したらどう避難していくのか 考えておくことが大切です。

インターネット上で国土地理院が提供している地理院地図では、任意の地点の標高を調べることができます。
学校や職場など日頃よく行く場所の標高を事前に調べて避難場所の確認などにぜひ活用してください 。
引き続き地震への備えをしっかりと行っていきましょう。

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