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2021年07月12日
熊本豪雨から1年 ふるさとを失った女性が伝える災害の教訓(2021年07月10日放送)
去年7月、熊本県の中でも特に被害の大きかった球磨村を取材しました。
住宅約30軒が並ぶ茶屋地区はほとんどが球磨川の氾濫で流されました。
その茶屋地区に住んでいた中神ゆみ子さん(71)に、1年ぶりに話を聞きました。
中神さんは現在、村の高台に建てられた仮設住宅で生活をしています。
- 【話:中神 ゆみ子さん】
仮設住宅での暮らしは秘密を守られるので自分だけの部屋なんだけど、心底眠れないことが一番きついですね。気分転換は、日記を書くことや、色鉛筆で花の絵を描くことです。ここでは何にもすることがないので午前8時半くらいになったら、いてもたってもいられなくて自宅のあった茶屋に足が向きます。
村などは今年、大規模な治水対策として、かつて住宅が並んでいた茶屋地区周辺まで川幅を広げる計画を示しました。
- 【話:中神 ゆみ子さん】
こんなにきれいになったら、私はもう一度ここに家を建てたい。
昔のことを思い出しながら生活をしたいなと思うけど、絶対無理なの。
中神さんは茶屋地区に戻りたいという思いを抱えながらも、県外にいる家族の説得を受け、新居を立てることを決断しました。
そして、7月4日。
茶屋地区には当時そこに暮らしていた住民の姿がありました。
- 【話:茶屋地区班長 山口 敏章さん】
茶屋地区で犠牲者を出さなかったことが不幸中の幸いです。逃げることの段取り・準備ができていれば絶対に犠牲者は出ないと確実に思いますので、そのことを後世に伝えていきたいと思います。
- 【話:中神ゆみ子さん】
私は、あの水が出た時2階にいました。2階にいれば大丈夫と思っていたけど、無線で「命を守る行動を取ってください」と言われたので、家を出ました。だからあの時家にいたら今の私はなかったと思う。流れたり壊れたりしたものは仕方ないけど、命があったら今年から新しい思い出を作ればいいと思っています。
壊滅的な被害を受けた茶屋地区は、住宅の被害は出たものの、犠牲者は1人もいませんでした。
いざという時に、どこにどのように避難すればいいのかという知識をみんなが持っていたこと、そして横の繋がりが
強く、みんなで声を掛け合いながら避難するということが習慣になっていたからです。
日頃からどれだけ備えができるかが大事です。
災害はいつどこで起きるかわかりません。中神さんから学んだ「命さえあればまたやり直せる」という言葉を胸に、ハザードマップで危険箇所を確認することや、家族で避難場所を話し合うことなど、この機会に1人1人が災害に対する意識をしっかりと高めていきましょう。
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