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2021年09月13日
椎葉村土砂災害から1年 受け継がれた遺志(2021年09月11日放送)
9月6日、去年9月に椎葉村で4人が犠牲となった土砂災害から1年が経ちました。
自身も被災し、命からがら逃げ出した相生組 相生秀樹 社長。
息子の泰孝さんは、1年経った今も見つかっていません。
相生組の経営を引き継ぐ予定だった「相生泰孝さん」は、被災前に建設業界の未来を考えある構想を描いていました。
それは、業界全体で担い手の確保などを目指す構想でした。
泰孝さんの構想では、担い手不足の解消のために効率の良い施工方法の導入が重要だとしています。
急斜面の危険な現場で遠隔操作の重機を使ったり、既製のコンクリート製品を活用することで、少ない人手で作業が進み、経営の改善や従業員の働き方改革などにもつながると考えていました。
泰孝さんが部長を務めていた日向地区建設業協会青年部では、泰孝さんの意思を引き継ごうと、去年12月、施工性向上委員会を設立しました。
これまでに20回以上リモートで会議を開き、県建設業協会青年部も加わって、県の担当課に施工方法などを提案。
協議を続けていくことになりました。
泰孝さんは生前、工事の設計前に県・設計業者・施工業者が協議し連携を強化することが必要だと訴えていました。
この設計段階における三者検討会は泰孝さんが犠牲となった現場の復旧工事でモデルケースとして実施されました。
また、今年3月には、県が試行要領を作成し3カ所の現場で実施されています。
災害発生から1年を迎えた9月6日、青年部のメンバーが現場を訪れ、遺志を受け継ぐ決意を泰孝さんに報告しました。
- 【日向地区建設業協会青年部 甲斐 宣人 部長】
泰孝君の考えていた建設業の未来をみんなで一緒に話し合い、実現するために一歩一歩前進しています。私たちの活動を見守っていてください。
- 【相生組 相生 秀樹 社長】
おそらく泰孝も天国から青年部に協力してくれと言うのではないか思うので、私も積極的に協力してあげたいと思います。
志半ばで犠牲となった泰孝さん。しかしその思いは多くの仲間や行政を動かし、建設業を現場目線で変えようとしています。
受け継がれた泰孝さんの遺志が建設業の明るい未来へと繋がっていくことを願っています。