五ヶ瀬ハイランドスキー場

五ヶ瀬ハイランドスキー場は、1990年五ヶ瀬町鞍岡に県内最南端のスキー場としてオープン。
最も多い時で9万人ものスキーヤーが訪れた人気のスキー場です。

台風14号襲来

02 台風14号 1

03 台風14号 2

2022年9月、大型で非常に強い勢力のまま鹿児島県に上陸した台風14号。
その後、宮崎県を暴風域に巻き込みながら九州をゆっくり北上し、猛烈な風と記録的な雨により県内各地に甚大な被害をもたらしました。
そして9月26日、五ヶ瀬町の小迫幸弘町長は五ヶ瀬ハイランドスキー場の今季の営業を断念する苦渋の決断を下しました。

現在の五ヶ瀬ハイランドスキー場

今回、五ヶ瀬ハイランドスキー場を管理する川崎一仁さんに特別に案内していただきました。

■川崎一仁さん
延岡市出身。
長野県のスキー場で設備のメンテナンスやゲレンデのコンディション管理などの仕事をしていましたが、地元宮崎のスキー場を盛り上げたいと思いで2017年にUターン。
現在は五ヶ瀬ハイランドスキー場で働いています。

被災当初は被害状況が分からず崩落の危険性もあり、スキー場に近づけなかったと話す川崎さん。
約1カ月後にようやく現地に行けた時には、従業員用道路の道の真ん中に深さ約1mの水路ができており、途中から土砂崩れにより道路が寸断されていました。

• 【話：五ヶ瀬スキー場 川崎 一仁さん】
  従業員が通ってお客さんを迎える準備をする道なんすけど、これがないことには営業ができないですよね...。食材や資材の運搬ができなくなり、設備のメンテナンスを行う業者も登れなくなりました。

さらに人工降雪機に使う沢の水も引けなくなり、雪が作れない状況です。

五ヶ瀬ハイランドスキー場でメンテナンスを続ける川崎さん

お客様に申し訳ない気持ちでいっぱいと話す川崎さんは、現在もただ1人スキー場に通い続けています。
来シーズンの営業再開を信じ、施設のメンテナンスを行っています。

スキーセンターへ行くためのリフトは電気を止めており動かないので、自力で登ります。
10月～12月初旬までは毎日約１時間かけて登っていたという川崎さん。
現在は施設の見回りのため、週一回通っているそうです。

幸い、五ヶ瀬ハイランドスキー場への大きな被害はありませんでした。
しかし、スキー場へと続く道の崩落で営業中止に追い込まれ、本来多くのスキー客で賑わうはずだったゲレンデやスキーセンターは、今はただ静かに時を刻んでいます。

• 【話：五ヶ瀬スキー場 川崎 一仁さん】
  全てまあ仕事ですからきついことも多々あるんですけど、やっぱり営業に入れないっていうのは精神的にも一番堪えますね。

五ヶ瀬中等教育学校 スキー部への影響

宮崎県立 五ヶ瀬中等教育学校（全寮制の中小一貫校）

この学校では、九州で唯一部として活動している「スキー部」があり、中学生から高校生まで現在11人で活動中です。
今シーズンは五ヶ瀬ハイランドスキー場が営業中止となったため大きな影響を受けることになりました。

• 【話：五ヶ瀬中等教育学校スキー部顧問 鈴木 哲史 先生】
  例年12月～3月の週末は必ず五ヶ瀬ハイランドスキー場で練習していましたが、今年は一番近い大分県九重町のスキー場で練習しました。ただ、費用（リフト券・バスチャーター料金・宿泊費）が必要となり、今回は保護者会からなんとか資金を捻出して練習はできましたが、例年にはない金銭的負担が大きくかかりました。来年度も五ヶ瀬ハイランドスキー場が営業中止となると部の存続に関わることになりかねないと考えています。

入部以来初めてとなる五ヶ瀬ハイランドスキー場の営業中止に部員たちは・・・

• 【話：スキー部 石井 晴 主将】
  僕たちのホームゲレンデで今までずっとスキー部がお世話になってきていて、ハイランドスキー場がなければスキー部はなかっただろうし、今後ハイランドスキー場がなかったら部活動は難しいんじゃないかと思っています。来シーズンは、僕達は最後というのもあるし、もっと五ヶ瀬で練習したいので、やっぱり頑張ってオープンして欲しいです。

営業再開には道路の復旧工事が必要

3月5日。営業中止のまま今シーズンが終了。
来年度より崩落した道路の復旧工事が始まりますが、長期間に及ぶことが予想されており、スキー場のオープン予定となる12月に間に合うかは未定。

川崎さんが今思うことは・・・

• 【話：五ヶ瀬スキー場 川崎 一仁さん】
  大きな被害が出たのは道だけで、スキー場の施設に大きな被害はなかったので、それが唯一の救いだったと思うしかないのかなと。
  自然の事なので道が壊れたことはもうどうしようもないですけど、早くまた営業にこぎつけて、お客さんを迎え入れるようになりたいなと思いますね。