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特集
2019年09月02日
17歳で気づいた幸せ 弁論に母への思いを乗せて(2019年8月31日放送)
今回の特集は、今年7月に佐賀県で開催された全国高等学校総合文化祭に出場した宮崎西高校3年の谷口日奈子さんをご紹介します。
日奈子さんはこの高文祭で、母親への感謝の気持ちを込めた弁論で優良賞を受賞しました。
しかし大会当日、母親は会場に駆けつけることはできませんでした。
日奈子さんのお母さんは7月から県立宮崎病院に入院しています。
去年検診を受けた際に悪性リンパ腫が見つかり、その後退院にするも今年2月に再発。
この時母 知子さんは、骨髄移植に向けた抗がん剤での治療をおこなっていました。
当時の様子を知子さんは「再発した時の方が娘はきつかったようです。病気に意味があるとしたら、こういう経験が今の時期にあって日奈子を大きくさせるっていう意味だったかなと思う。だけどもう終わったからもう消えていいよって思います。」と話します。
日奈子さんの姉 華奈子さんは重度の知的障害があり、母親の入院中は祖父母がサポートしています。「私が手伝う時にママ、ママって言ったりすることが多いのでお母さんにこうやってしてもらいたいのかなって思います。お姉ちゃんはお姉ちゃんなりにお母さんがいない毎日を頑張って過ごしているけれどやっぱり寂しいと感じるのは私もお姉ちゃんも一緒なんだなぁと思います。」と日奈子さんは話します。
宮崎市西高校理数科に通う日奈子さんは、受験勉強の真っ只中。
母親の病気の再発を知ったのは3年生になるおよそ1ヶ月前のことでした。
「再発ということがものすごく衝撃があって、自分でもわからなくなるくらい涙が出た。」泣きじゃくる日奈子さんを母・知子さんは抱きしめました。
その時日奈子さんは「自分が弱音をはいちゃいけない。」と感じました。
「他の人より大変な分、絶対に頑張るから。」と誓ったそうです。
弁論の経験がなくさらに受験勉強と平行しながらの練習時間でしたが、その時間は日奈子さんにとって大切な時間だったそうです。
指導にあたっていた先生は弁論練習の声のトーンからその日の日奈子さんの心情を汲み取っていました。
弁論の練習の時間だけではなく、成績や家族の話しも聞いてくれる先生との時間は日奈子さんにとって気持ちが落ちつく時間でした。
骨髄移植に向けて3ヶ月間入院するため、一時退院の許可が出ました。
久しぶり台所に立つ知子さんは嬉しそうに料理をしていました。
そんな中、日奈子さんが帰宅しました。
「お母さんが料理している所に自分が帰ってくるのは今まで当たり前だったけど、やっぱりいいなぁとすごく感じます。」と語る日奈子さん。
母・知子さんも「何気なくおかえりと言っていたけれどそれが言えることが一番いいな、幸せなんだなって改めて思えた。」と話し、当たり前の日常の幸せを二人は噛みしめるように食卓を囲んでいました。
大会当日、知子さんはベットの上で練習用に録音した日奈子さんの弁論を聞いていました。本当はその場で聞きたかった知子さんの為に、この日、日奈子さんは自宅のリビングで弁論を発表することにしました。
母親がガンだと知ってから襲ってきた辛く不安な毎日。抱きしめられた時に覚悟を決めた気持ち。姉や祖父母と乗り越えた日々。そして病気の再発。
様々な思いが込められた弁論でした。
弁論を読み終わると母 知子さんは涙が溢れ、日奈子さんの頭を優しくなでました。
「これで本当に弁論が終わった。」とほっとする日奈子さんになんどもありがとうを繰り返していました。
母・知子さんは、娘・日奈子さんを人生をともに歩んでいく相棒だと話します。
そして前を向いて進んでいく日奈子さんに置いていかれないように病気をなおさなくちゃ、と話してくれました。
何気ない日常が幸せだということを教えてもらったような気がします。
1日でも早く知子さんが元気になることを心から願っています。