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2024年03月04日
能登半島地震から2カ月 被災地で見えた課題(2024年03月02日放送)
元日に大きな被害をもたらした能登半島地震から2カ月。
被災地では、3月1日時点で、約1万8000戸で断水が続き、ライフラインが復旧しないことには復興を加速させられないという状況です。そして、地震の発生から2カ月が経ったことで、新たな課題も見えてきました。
現地の今を取材した又川岳人記者の報告です。
元日午後4時10分頃、石川県の能登半島で発生した地震は241人の命を奪い、約7万6000棟の住宅に被害をもたらしました。
発生から約2カ月が経った今も、倒壊したビルや岸に打ち上げられた漁船など、最大震度7の恐ろしさを伝える光景がそのまま残されています。
「奥能登」と呼ばれる、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町には、輪島塗り職人などの個人事業主が多くいますが、建物への被害や事業を継続できるかどうかなど被害の全容は未だ把握できていません。
輪島塗職人の桐本泰一さんは輪島市の朝市通りに店を構えていましたが、火災で全焼。他の場所にあった自宅や工房なども被害を受け、事業再建に向けた相談のため県の支援窓口を訪ねました。
「もともとは小さなボヤで、こんなに大きな火事になるはずではなかった。最初の3週間は、水やトイレをどうするかなど、暮らすのに精一杯。1カ月経ってからようやく、次はどうするのか思いが来た」と話します。
もう一つの課題は奥能登の「高齢化」。
復旧復興の先を見据えた再生が求められますが 2020年時点で高齢化率が48.9%という厳しい現実があります。
七尾市で被災した円山寛人医師は、
「復旧で旧態依然としたものに戻しても、少子高齢化の波をどうするのか。単に直して元に戻すというだけでは、おそらく能登は30年後50年後には大変辛い復興になると思う」と話します。
私たちができること「観光で応援」
こうした中、3月16日に迫った北陸新幹線「金沢-敦賀間」の開業。
温泉地として知られる加賀市は宿泊業者にとって書き入れ時となるはずですが、旅館では現在も避難者を受け入れています。
老舗旅館「宝生亭」では被災者の力になりたいと 輪島市などから73人を受け入れていて、全室を二次避難所として利用しているため、2月の3連休も全く一般客がいない状態でした。
一方、元日の地震以降、加賀市内の温泉地の宿泊キャンセルは1月末時点で6万6000件余り。
避難者を受け入れている中でどのように観光客を呼び込むか 悩ましい状況が続いています。
- 【話:旅館「宝生亭」帽子山 宗社長】
結構なダメージの赤字。避難者を救うためのいろいろな動きが少しバランスを崩したときに、取引業者などが被害を受けているというのは見逃せない点ではあると思います。
避難者からは、「地震から2カ月経つが、どんどんニュースで取り上げられるということも少なくなってきて、どんどん風化していく。 私ども被災者というのはこれからが本当に大変だと思う。」という声もありました。
又川記者が現地で出会ったご夫婦の写真
70代の旦那さんは珠洲市の自宅で被災。倒壊した自宅に約17時間も閉じ込められていましたが、奇跡的に怪我はなく今は子供夫婦のところに避難しています。
この日は奥様の誕生日で、「大変な目にあったが大切な日は大好きな場所で過ごしたい」と話していたそうです。
私たちにできる応援の一つ「北陸応援割」
1泊2万円を上限に旅行代金の50%を割引くという国の観光支援策「北陸応援割」。
石川県でも3月16日宿泊分からこの制度を適用されます。
被災者の支援はもちろん、被災者を支えている宿泊業者などの地元の人たちを応援することで、結果的に復興を後押しすることにつながります。
- 【話:又川岳人記者】
被災地では今も1万人以上が避難生活を送っています。
宮崎で暮らす私たちは被災地のことを決して風化させず、被災地のためにできることは何か、そして能登半島地震の教訓から学ぶべきことは何か考え続ける必要があると感じました。