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2020年11月16日
新型コロナウイルス 医師に聞いた治療法と効果(2020年11月14日放送)
今月に入って新型コロナウイルスの感染者が全国で急増しています。
第3波への備えが必要な今、この夏の医療体制を検証したいと思います。
県内では7月22日からの55日間で345人が感染しました。
この第3波の感染者のおよそ9割は無症状や軽症でしたが感染者のおよそ1割は酸素投与が必要となりました。
この症状の分類は(厚生労働省の分類)
軽症・中等症I(呼吸不全なし)・中等症II(呼吸不全あり)・重症に分けられています。
新型コロナの治療ではこの中等症の病状の進行を見極めるということが重要なポイントとなっています。
医療現場では重症化させないために、この中等症の見極めを注意深く行っています。
第2波の治療を主に担ったのが県内の7つの感染症指定医療機関です。
感染者はどのような治療で回復したのか、感染指定医療機関を代表して県立宮崎病院の眞柴晃一副院長にお話を聞きました。
- 【話:県立宮崎病院 眞柴副院長】
いろいろな方が入ってきたので、その時点で効くとされている薬を適宜選んでいきました。
レムデシビル、デキサメタゾンなど効果があるというものを導入しました。
大体、1週間前後が急激に悪くなっていくケースが多く、最初は熱が出て元気な方もだるさが強くなり、呼吸器症状も少しずつ強くなってきて酸素飽和度といった動脈血の中の酸素の飽和度が下がっていく呼吸不全、呼吸状態が悪くなるケースが急激に出てきます。
酸素飽和度・・・血液に含まれる酸素量を示す指標のこと
患者のデータを注意深くみながら重症化を防ぐために酸素吸入のタイミングを決定。
さらに症状が進むこともあり、炎症や刺激物質が一気に増加し免疫が暴走します。
血栓(血の塊)が肺や全身に広がり呼吸器不全の状態に陥る状態になってしまいます。
投薬によって炎症と血栓を作る状況をコントロールすることが、深刻な状況に陥らずに済むポイントになるようです。
一方で医療現場を悩ませたのが感染者を受け入れる病室の調整です。
第2波で県内ではピーク時に1日最大101人が入院。
クラスターの発生でベッドが埋まる中、医療現場では人間関係への配慮など普段とは違う調整を迫られていました。
- 【話:県立宮崎病院 眞柴副院長】
感染源は社会的な生活の中で親しい身近な人が多く、その方々がほぼ同時期に入院してきます。その時に同室にして良いのか、良くないのかという問題がありました。
家族単位なら良いが、会社の上司やいろいろな関係性なら簡単にはいかない話もあります。
これ以外でも先日行われた新型コロナウイルスの対策協議会では、医師からは重症者向けの医療機関に軽症者が入院するケースがあり、病床の調整の面で「問題が大きかった」という声が出されました。
対策の砦となる感染症医療機関が患者の受け入れを他の病院に求めた時にスムーズに協力しあえる環境づくりが求められています。
第2波を経験した医師が「協力しあえる医療機関が増えてほしい」と危機感を抱いています。
この危機感を誰が受け止めて問題の解決につなげるのか課題は残っています。