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特集
2021年09月13日
コロナ禍の「認知症」(2021年09月11日放送)
今月は世界アルツハイマー月間。
高齢化が進む日本では、認知症の患者数は増えると予想されています。
認知症高齢者の推移としては、2020年に631万人、2025年に730万人で、2050年には1,000万人を超えると言われています。
認知症について「弘潤会 野崎病院 倉増 亜紀 医師」にお話を伺いました。
- 【話:弘潤会 野崎病院 倉増 亜紀 医師】
2025年以降、「団塊の世代」と呼ばれる約800万の人が75歳以上となるため、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会に入ります。現役の世代は減っていくと推計されているため、今まで以上に医療や介護の整備を進めていくことが求められます。また若年性認知症と言って、65歳以下で認知症を発症するケースも見られます。
認知症とは?
認知症の種類や個人差によるバラつきはあるが、脳の障害により日常生活に支障がでるまで認知機能が低下した状態のこと。
認知症の種類
- アルツハイマー型認知症(主な原因は加齢) 67.6%
- 脳血管性認知症(脳卒中などで発症) 19.5%
- レビー小体型認知症 4.3%
- 前頭側頭型認知症 1.0%
認知症は根本的な治療法が開発されていないため、症状の進行を遅らせることが治療の目標となっています。
認知症の発症自体を完全に防ぐことは難しいが、健康的な生活や人との交流で刺激を受けることで、発症や進行を防ぐ効果があると言われています。
新型コロナウイルスへの感染というよりも、コロナ禍で環境が変わってしまったことで症状が変わるケースが多く見られています。
感染症対策では人との接触を控えるように言われていますが、認知症の患者さんにとって人との交流はとても大切なことです。
また認知症患者はマスク着用など、感染症対策が難しい場合もあり、より慎重な対応が求められます。
コロナ禍の認知症治療
- 施設に入所している患者
面会ができなくなり家族の顔を忘れてしまう。 - 通所施設を利用している患者
通所が制限されることで体力が落ちこれまでできていたことができなくなる。
コロナ禍で運動量やコミュニケーション量が減り、結果的に物忘れが増えるケースなど、新たに認知症を発症するケースも昨年の夏頃から増えてきています。
認知症予防トレーニング
頭と身体を一緒に使うような活動が効果的!
お風呂掃除や料理の下準備など、本人の力に応じた役割を持つことで、社会や家族の役に立っているという自信に繋がり、結果として認知症の治療に良い影響を与えます。
スマホ認知症
若い世代にも特に注意が必要な症状がスマホ認知症です。
スマホ認知症と呼ばれ、スマートフォンなど長時間使用によって脳の機能が低下し、人の名前が出てこなかったり、物事を思い出すことが難しくなる状態のことを言います。
スマホ認知症と実際の認知症とは、原因も症状も厳密には異なりますが、記憶面の症状は部分的に共通点があるかもしれません。
機械に頼りすぎて「頭を使わない、覚えない、考えない」という生活が長期間続くと、将来的には認知症の発症リスクになる可能性があります。
予防策としては、意識してIT機器と離れる時間を作ることや、自分で考える習慣を持つことが大事になります。
もの忘れ外来
認知症の早期発見、治療のためには、早めの受診が必要です。
県内には、もの忘れ外来「認知症の早期発見、治療を行うための外来」というものがあり、県から委託を受けた医療機関が5箇所あります。
認知症はどんな人でもかかる可能性がある病気です。
一方で早期から対策を行えば、長く元気に過ごすことができる可能性がある病気でもあります。
このような時だからこそ、認知症に関する正しい理解が広まり、認知症のあるなしに関わらず、誰もが人と繋がりを持つような温かい社会になることを願います。
お問い合わせ
弘潤会 野崎病院
もの忘れ外来 相談専用電話:0985-54-8123
(午前9時~午後5時 土日祝は休み)