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特集
2024年10月28日
ギリシャから宮崎へやってきた! 青島の寿司学校に初の外国人生徒(2024年10月26日放送)
宮崎市青島にある寿司職人養成学校「OSUNOSUSHI」が、海外からの注目を集めています。
日本の食文化と技術を求め、今年の夏、初の長期コース受講者が来日しました。
2カ月間の修行を通して、日本文化の理解と寿司職人技術の向上に挑んだギリシャ人の女性の奮闘の様子をお伝えしました。
初めてのギリシャ人生徒 エイリニ・エブドシアさん
日本を代表する伝統食、寿司。
その技術と日本のホスピタリティに触れたいと願うギリシャ出身のエイリニ・エブドシアさん(25歳)が、今年の夏、宮崎県青島にある寿司学校「OSUNOSUHI」に入学しました。
観光地としても人気の青島に位置するこの学校は、寿司の技術だけでなく、日本文化も同時に学べることで多くの外国人から注目されています。
エイリニさんはもともと日本の伝統的な文化に興味があり、「日本文化を学ぶために食文化は欠かせない」という思いから寿司学校での修行を決意。
日本のホスピタリティや寿司職人の技術に惹かれて入学したそうです。
世界の寿司人気から始まった寿司職人養成学校「OSUNOSUSHI」
海外旅行中に寿司が世界で人気を博していることを実感し、外国人向けの寿司学校を作ることを構想していた高鍋町出身の黒木了一さんと、ロサンゼルスのミシュラン1つ星付き寿司店で板長として働いていた大阪府出身の植田一臣さんが、青島で出会い、誕生した「OSUNOSUSHI」。
2023年7月に宮崎青島で学校をオープンし、これまでに訪れた外国人観光客を対象に、寿司作りのワークショップを通じて日本の伝統文化を伝えてきました。
■黒木了一さん(左)、エイリニ・エブドシアさん、植田一臣さん(右)
初日から始まる修行 ~寿司職人の基礎を学ぶ~
エイリニさんの修行初日は、職人の命とも言われる包丁の扱い方からスタート。
まずは、包丁の持ち方やケアの方法を学び、食材の切り方に挑戦しました。
切れる包丁と切れない包丁の違いが、仕事の質を大きく変えることも体験を通じて学びました。
さらに「桂剥き」にも挑戦し、最初は戸惑いながらも繰り返し練習することで少しずつコツをつかんでいきました。
学校の指導者である植田さんは、彼女の努力を称賛しながら、細かい指導を続けました。
「寿司職人としての基礎を身につけるには、まず道具の取り扱いや基本技術の確立が必要」と植田さんは話します。
初めての環境にもかかわらず、エイリニさんは丁寧にメモを取り、真剣に取り組む姿が印象的でした。
地元文化にも触れる ~味噌作りと醤油工場見学~
宮崎の地元で作られる味噌の製法も体験し、ひよこ豆を原料にした味噌作りに初挑戦しました。
エイリニさんは「すごくユニーク。日本の伝統的な調味料を学ぶ貴重な体験になった」と話します。
また、寿司には欠かせない醤油の生産現場を訪れ、140年を越える伝統的な製法を見学するなど、2カ月に及ぶ研修で寿司職人としての技術だけでなく、日本の豊かな食文化に対する理解も深まっていったようです。
「食文化の根底にある技術と歴史を学べることが嬉しい」と話すエイリニさん。
修行の集大成 ~地元住民に向けた発表会~
修行終盤、これまで学んだ成果を披露するため、地元住民約20人を招待して発表会を開催しました。
エイリニさんはギリシャの食材や技法を取り入れたオリジナル寿司を振る舞い、来場者たちを驚かせました。
緊張を見せながらも、「準備は万全」と、訪れた地元住民たちに笑顔で料理を提供しました。
発表会は無事成功!彼女の成長を称賛する声が寄せられました。
地元住民からも、「寿司職人としての技術だけでなく、日本の文化を積極的に学んでいる彼女の姿勢が素晴らしい」、「料理に関心を持っている外国人が、食を通して日本文化の理解を深め、広めてくれることに感動した」と話しました。
青島から広がる寿司文化 ~卒業後の抱負~
2カ月の修行を終え、エイリニさんは無事に卒業試験に合格。
白帯から黄色帯に昇格し、充実した学びの時間を経て、ギリシャに帰国しました。
修行中に大きな台風や地震も初体験したエイリニさんですが、「すごく楽しかった。また日本に帰ってきたい。青島大好きです。」と笑顔で語り、青島での修行を振り返っていました。
「OSUNOSUHI」には現在、フランスと東京から新たな生徒が入学しており、来年1月にはフランスとアメリカからの入学も予定されています。
日本の伝統食である寿司を青島から世界へ広めたいという思いが、着実に形となって実現しつつあります。