去年11月に公開された新海誠監督の映画「すずめの戸締まり」。
この映画の人気の波に乗ろうとしている日南市の取り組みをご紹介します。
主人公・岩戸鈴芽が、ある青年との出会いをきっかけに災いを呼び込む扉の存在を知り、戸締まりの旅に出る物語。この映画の冒頭シーンで鈴芽が住んでいる場所が「宮崎ではないか」と公開当時から話題となりました。このことについて新海監督は・・

• 【話：新海 誠 監督】
  鈴芽の町の風景は、宮崎の特定の町を舞台にしたというよりは、九州全体の雰囲気をミックスして作っています。なので宮崎に住んでらっしゃる方が「宮崎っぽいよね」と思っていただけたのであれば、すごく嬉しいなと思います。

この「宮崎っぽさ」で地元を盛り上げようと動き出したのが・・日南市で建築事務所を経営する作田耕一朗さん。

日南育ちの作田さんは、映画に出てくるシーンと、いつも見ている日南市の風景が何度も重なったと話します。
そして、日南市を全国にアピールするチャンスと捉えました。

• 【話：日南市在住 建築士 作田 耕一朗さん】
  （映画に出てくる）扉を日南市に作った方がいいんじゃないかと。扉と言ったら建築なので、我々の仕事だろう、というところで、日南建築士会のメンバーに声をかけて作ろうと思いました。

映画を忠実に再現しつつ日南の良さも生かすため、飫肥杉で扉と椅子を製作しました。

更に協力を依頼したのが、日南高校美術部。色付けと古びた加工という仕上げの作業を依頼し、地域を巻き込んだプロジェクトとなりました。
3種類の彫刻刀を使って自然な傷をつけるなど様々な工夫を凝らす高校生の作業現場に、建築士の作田さんも足を運び、アドバイスをしながら見守ります。

 日南のシンボル飫肥杉を使った「扉」は、道の駅なんごうに設置されています。
これからも皆さんに親しまれる扉になって欲しいと語る作田さん。
映画の中では災いを封じ込めるものとして描かれている「扉」ですが、日南市では、多くの人をつなぎ幸せを呼び込むものとなっていきそうです。