番組表
特集
2019年11月18日
スギ生産量28年連続1位 飫肥杉の魅力を発信 製造業者に密着(2019年11月16日放送)
今回は宮崎を代表する産業の一つ林業についてお伝えします。
宮崎県はスギ丸太生産量28年連続日本一を誇る、スギの一大生産拠点となっています。
去年の木材平均価格は1立方メートルあたり14,200円で取引され、ここ10年では最も高い金額となりました。
一方で林業就業者は年々減っていて高齢化が進み担い手が深刻化しているという課題もあります。
宮崎の林業は約400年前に飫肥藩が植林活動をしたことで始まりました。
先人たちが残した飫肥杉は宮崎から遠く離れた地でその存在を確かなものにしています。
飫肥杉の山々に囲まれた一角に、県内有水の製材所「高嶺木材」があります。
ここでは飫肥杉の壁材やフローリング 材が生産されています。
飫肥杉は古くから木造船の材料として使われてきました。
樹脂分は他のスギの3倍あり、湿気に強く腐りにくい性質を持ちシロアリにも強いのが特徴です。
社長の高嶺清二さんは父親が亡くなった後、19歳で家業を引継ぎ半世紀の間飫肥杉とともに歩んで来ました。
高嶺さんは原木の生産・調達から品質管理・出荷までを一貫して手掛けています。
景気や市場の変動などで一時は赤字になりながらも会社の規模を大きくしてきました。
「大事にしてきた飫肥杉をお客さんに知って頂きたい。」
高嶺さんが手掛ける製品の一つに「海幸山幸」の内装があります。
気の温もりや特製を損なうことなく木材の「純不燃羽目板」が実現したものです。
その他にもヒノキ以上の硬さを実現し、傷つきにくい床材「表面圧縮フローリング材」を生み出しました。
高嶺さんは1948年三人兄弟の長男として生まれ、製材業を営む父清さんの背中を見て育ちました。
しかし1964年前身の実家の工場が火事で全焼し、父親は高嶺さんに稼業を残すため製材所を再開しましたが、完成から5カ月後心筋梗塞で亡くなりました。
父親の思いを継いだ高嶺さんの製品は全国各地の目に止まりました。
飫肥杉を使って家づくりをする沖縄県の一級建築士の伊良皆盛栄さんは「飫肥杉はなくてはならない存在。出会ってよかった。」と話します。
沖縄県は台風の襲来、シロアリ被害が多いため鉄筋コンクリート造が主流です。
その沖縄で木造住宅の建設を実現している工務店「琉球住楽」があります。
2008年設立され10以上にわたり木造住宅を設計施工しています。
伊良皆さんは湿気に強い飫肥杉に目をつけ、高嶺さんの飫肥杉を使っています。
そんな伊良皆さんを高嶺さんは「木のない沖縄だからこそ、木の大切さを考えている。」と話します。
高品質な製品と安定供給を実現する高嶺木材。
飫肥杉で100年住める家づくりを目指す伊良皆さん。
飫肥杉と関わり50年、徹底した飫肥杉へのこだわり、その先に高嶺さんは「飫肥杉を高く売って山に還元したい。そして林業再生に結び付けたい。」と考えています。
しかし林業は高齢化が進み、担い手不足が深刻となっています。
飫肥杉の価値を高め、先代の森を守っていく。
そんな思いを胸に高嶺さんは約50億円をかけ、高原町に工場を建設。新たに40人を雇用し、海外への販路拡大を目指しています。
高嶺さんの大切にしてきたものが次の世代にもつながり、宮崎の林業がさらに元気になることを期待しています。