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2024年04月15日
熊本地震から8年 活断層型地震の特徴と今後の備え(2024年04月13日放送)
地震のメカニズムを研究している京都大学 防災研究所 宮崎観測所の山下裕亮助教は、熊本地震は 布田川断層帯と日奈久断層帯という2つの断層帯の一部がずれ動いたことによって発生した地震だと話します。
日奈久断層の北側がずれ、マグニチュード6.5の前震が発生。
その影響で布田川断層がさらに大きくずれ動き、マグニチュード7.3の本震が発生したと考えられています。
この2つの活断層に近い益城町では、前震と本震で震度7の強い揺れを観測しました。
九州には福岡市の中心部を走る警固断層、別府湾から大分西部に至る別府一万年山山断層など主要活断層は複数ありますが、宮崎県内で確認されている主要活断層は今のところありません。
しかし先月、北部平野部を震源とする地震が相次いで発生。
延岡市や門川町で最大震度4を観測しました。
山下裕亮助教は、「 見えていない断層は日本全国無数にあります。宮崎県に主要活断層がないから内陸の地震は起こらないんだというのは大きな間違い。」と話します。
また、主要活断層の中で心配されているのが、8年前の熊本地震でずれ動かなかった日奈久断層帯の南側です。
南側の大部分はまだエネルギーをためたまま残っており、日奈久断層帯がより動きやすくなっていて、地震が起こりやすくなっていると指摘されています。
日奈久断層の南側が一気にずれると、マグニチュード7.6以上の地震が発生。
その場合、県内の最大震度は、えびの市など山間部で震度6弱、沿岸部で震度5弱の揺れが想定されています。
揺れは1分以上、山間部では土砂崩れや落石などの被害が予想されます。
- 【話:山下裕亮助教】
耐震化が十分になされていない住宅であれば、倒壊する危険性だって十分にあると思います。内陸の地震の特徴はとにかく強い揺れが予想されるので、家具の固定や住宅の耐震化を検討するなど、このような節目のタイミングで定期的に見直しをしてほしい。
避難後の課題
そして熊本地震では死者273人のうち、およそ8割が避難後などに亡くなる災害関連死となっています。
熊本の避難所などに派遣された県内の保健師に、当時の状況と災害への備えについて話を聞きました。
熊本地震が発生して3週間後に避難者の健康管理などを行った保健師の髙藤ユキさん(小林保健所に勤務)は、「避難所では、熱中症のほか食中毒も多かった食糧が毎日配給されるか不安に感じ、食べ残しを保管する人が多く、それを食べて体調を崩す人もいた。また、いつ地震が発生するかわからないという不安から眠れなくなる人も多かった」と話します。また、車中泊で血流が悪くなり血栓ができたり、水分を取らないことで脱水症状が出たりと様々な疾患症状が起きていたといいます。
南海トラフ巨大地震が起きた時に、甚大な被害が想定されている宮崎県。
災害の備えについて、髙藤さんは、「広範囲での被害があったときに支援が来てくれるのかわからない。まずは自助をしっかりしておかないといけないと感じた」と話します。
備えておくもの
- 食料は1週間は用意(栄養の偏りもあるので、いろいろな種類のものを準備すると良い。また、暖かい食事をとると心身ともに温まり疲れを癒してくれるということで、発熱剤なども備えておくと良い)
- お水
- 普段服用している薬は、携帯電話で撮影したり、お薬手帳のコピーを持っておくと避難所でも薬が処方されやすくなる
- 地域の人たちとのつながり(地区の防災訓練にも積極的に参加して、地区の人と顔をつないでおく)
- 行政からの情報(携帯に連絡が行政から来るので、情報入手手段を把握しておくことが大切)