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2020年09月28日

DVのない社会を・・・加害者更生施設(2020年09月26日放送)

配偶者やパートナーからの暴力、DVについて考えていきます。
多くの場合被害者は女性ですがデリケートな問題であることから周りに相談ができなかったり、また自分自身が被害者や加害者であることに気づいていないというケースがあり、被害が深刻化してからSOSが発せられることが多いようです。

01 県内のDV被害相談検挙件数

県内で警察に寄せられたDVに関する被害相談の数は、昨年度は808件と過去最多となっています。
なぜDVは無くならないのか、「やめられない」という加害者の気持ちを探りDVからの更生を目指す西都市の団体の取り組みを取材しました。

西都市にある、「一般社団法人 エフエフピー
ここはDVの加害者となった人たちが通う更生施設です。
DV(ドメスティック・バイオレンス)には、身体的暴力・精神的暴力・社会的暴力・経済的暴力・性的暴力など様々な種類があります。

02 一般社団法人 エフエフピー

一般社団法人 エフエフピー

03 配偶者暴力相談支援センターへの相談件数

配偶者暴力相談支援センターへの相談件数

妻と娘の3人家族で宮﨑に暮らすエフエフピー代表の中川 拓さんは、
2年前に東京から移住し、妻の亜衣子さんとともに加害者更生施設を立ち上げました。

  • 【話:中川さん】
    プロクラムでお会いする皆さんは普通でいい方ばかり。イメージと全然違います。調べれば調べるほど「DV加害者は頭がおかしい」「サイコパス」「人格障害」などと言われているが、そんな人は1人もいませんでした。
    これはおかしいと思ったのが団体を立ち上げたきっかけでした。

DVという難しい問題にあえて2人が取り組む理由。
それは夫の拓さんはかつて妻にDV行為を行なっていた加害者だったこと。

妻に対して、「お前はだめだ」「わかっていない」「俺の言う事を聞け」と暴言を吐いていました。一度怒鳴ると収まらず、怒鳴り続けていました。
日常的な暴言や無視、ひどい時には5時間以上にもおよぶ説教、頬や頭を叩くことも、その時はDVという認識はなく、DVをする人に対して嫌悪感を抱いていたそうです。
夫からDVを受けていた妻の亜衣子さん、当時の彼女にもDV被害者という認識はありませんでした。

04 亜衣子さん

  • 【話:亜衣子さん】
    「私が悪いんだろうな」と思っていました。
    DVの知識もなくそういう思考回路にはならなかったです。
    とにかく辛く窮屈でした。どうやって日々穏やかに暮らそうか、どうやって怒られないで暮らせるかそればかりを考えていました。

東京から宮﨑へ移住した頃、亜衣子さんの心はついに限界を迎えます。
夫の留守中、娘を連れ家から逃げ出しました。
妻がいなくなった事でようやく自分の過ちに気付いた中川さん。
自分を変える方法を模索しているとある施設にたどり着きました。

神奈川県横浜市にあるDV加害者更生施設 NPO法人 ステップ
これまで700人以上の加害者がプログラムに参加し、その8割が加害行為を止めることができたと言います。

05 DV加害者更生施設 NPO法人 ステップ

  • 【話:NPO法人 ステップ 栗原加代美 理事長】
    実際にDVを振るわれていても逃げることのできる被害者は1割くらいです。
    残りの9割は経済的理由や子供のために我慢してしまいます。
    そうすると身も心もボロボロになり、どうしようもなくなりシェルター(保護施設)に逃げ込むケースが多いです。
    夫に変わってもらうことでしか本当の解決はないのではないかなと思います。

中川さんは1年間、この施設で更生プログラムに参加しました。
同じDV加害者の話を聞くことで罪の意識が重くのしかかりました。
別居生活から8カ月間、変わろうと必死に努力する夫の思いは離れて暮らす亜衣子さんにも少しずつ伝わってきました。

  • 【話:亜衣子さん】
    もし夫が変われたとしたら私たちにとって1番いい選択肢だと思いました。
    離婚とか別居よりも夫が変わることで一緒に暮らせることが家族みんなにとって1番いいと思ったので夫が変わる事を信じようと思いました。

笑えなかった日常にようやく笑顔を取り戻しました。

  • 【話:亜衣子さん】
    あんなにほしかった穏やかな生活、旦那さんの顔色を窺わなくていい生活ができ、またいろんな話ができて、自分で選ぶことができて小さいことだけどよかったなと思っています。

夫婦関係を取り戻し新たなスタートを切った中川さんは、過ちから学んだ経験を少しでも多くの人に伝えようと加害者更生施設を立ち上げました。

DV加害者である中川さんが今年4月に立ち上げた加害者のための更生プログラムでは、選択理論という心理学をベースに自分の過ちを認めることや2度と暴力行為を繰り返さないマインド作りなど感情のコントロールを学びます。

DV加害者に共通するのが一方的な考え方。
こうした思考に陥る要因は多くの場合、育った家庭や周囲の環境にあると言います。
そうした加害者の意識や考え方を変えることでDVはやめられると身をもって学んだ中川さんは加害者に対する世間の意識を変える必要があると感じています。

  • 【話:中川さん】
    私がプログラムに通って自分でも手応えがあり妻からも変化を認めてもらえたことでこれを広めていきたいと思いました。実際に来ていただいた方に幸せになってほしいです。

加害者、被害者、それぞれの立場を通し参加者の更生を支援する中川さん夫婦。
DVのない社会を作ることは子供たちにとってもとても重要であると訴えます。

  • 【話:中川さん】
    実際、子供が殴られたり、怒鳴られたりしているケースもありますし、そうでなくても夫が妻を怒鳴っているのを子供が見ている・聞いている「面前DV」それがその子の未来・将来にすごく影を落とします。それを止めないといけません。

06 エフエフピーの連絡先

重要なことは被害者が被害者だと気づくことです。
例え小さな違和感だとしてもそのままにせず、被害者かもしれないという認識を持って相談する勇気を持ってください。
夫婦と子どもたちの未来にもつながっていきます。

■お問い合わせ
一般社会法人 エフエフピー
TEL:080-5931-5540
検索:エフエフピー
URL:https://5050p.org/
※カウンセリング、プログラムは有料

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