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2020年06月22日
Withコロナの新時代 観光業界の現状(2020年06月20日放送)
今回は新型コロナとの共存を意味する「withコロナ」時代の観光産業のあり方について考えていきます。
この観光を巡っては19日に、県をまたいだ観光の自粛が全面的に緩和されました。
久しぶりに宮﨑に帰ってきたという方や、遊びで宮﨑に来る方も多くいるのではないでしょうか。
その一方、新型コロナによる影響で県内の宿泊施設では2月から7月までに34万8637人がキャンセルとなっていることがわかりました。
新型コロナの発生で受けたダメージに加え、先行きも不透明な状態が続いている宿泊業界。
県外や海外から観光客が見込めない中どのようにして生き残っていくのか、高千穂の旅館を取材しました。
年間130万人以上が訪れる高千穂町。
8割を県外や海外の観光客が占めています。
高千穂町の中心部にある、6年前にオープンした「旅館 神隠れ」。
宿泊客の6割が関東・関西・福岡、1割が外国人観光客を占めるため、新型コロナウイルスの影響は深刻です。
【話:かみのや 佐藤 雄二郎社長】
「3月の売り上げが50%減、4月、5月は営業を自粛したため10%程度に落ち込みました。治療薬が開発されていない不安な中で旅行するマイナスイメージが今後どのように続くのか不安を感じていました。現在、予約は少しずつ増えてきている状態です。4、5月にキャンセルしたお客様から、8、9月に泊りに行くという嬉しい声も頂いています。」
急激な回復は見込めない中なんとか売り上げに繋げようと、神隠れでも4月末からテイクアウトを開始しました。
多い日には1日120食の注文が入ります。
このサンドイッチのパンは同じように新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされている地元のパン屋から仕入れています。
【話:松のパン 松本 俊行社長】
「給食用に注文を受けている3、4月の売り上げがほぼゼロに。また、高千穂町内のホテルに卸していたパンも納品がなくなり大きな痛手となっていました。神隠れさんがテイクアウトでうちのパンを使ってくれて、それがずっと続いてもらえればいいなと思っています。」
新型コロナウイルスへの対応を迫られる中で、改善すべき点や気づきがあったという佐藤社長。
県内外の人々に愛される観光地づくりのためには、地元や地域との繋がりを密にする大切さを痛感しています。
【話:かみのや 佐藤 雄二郎社長】
「今回テイクアウトの商品を開発することで、町の小売店の商品を買い、商品を販売するような流れを作ることがコンセプトのひとつでした。県外だけではなく、県内町内のお客さまに向けた新しい商売の形を見つけることが大事なのではないかと思いました。外的要因に左右されない強い地域づくりが今後のアフターコロナの時代には大事だと思います。」
19日から県では、宿泊料金の最大半額を補助する「旅して応援!」キャンペーンがスタートしました。
県内260の宿泊施設が対象です。
今回の新型コロナの影響を受けて、観光業界では盛んに「マイクロツーリズム (小さな旅行)」が提案されるようになりました。
自宅から30分~1時間の自家用車でいける範囲で観光し、近場での観光で、感染拡大防止と地域経済を県民で盛り上げていこうという考え方です。
この考え方は、小中学校の修学旅行の行き先にも及んでいます。
県教育委員会は市町村教育委員会に修学旅行の行き先を県内に変更することも検討するように提案しました。
できるだけ、中止を避けつつ経済活性化につなげようという狙いです。
そんな中、宮﨑市観光協会の呼びかけで行われた意見交換会。
高千穂町や、日南市など参加した観光協会に共通するのが市内や町内に宿泊施設を多く抱える点です。
これまでは、それぞれの観光協会が県外向けに旅行のPRを行ってきましたが、新型コロナウイルスの発生を受けて、連携して県民にとって魅力的なツアー作りを始めました。
観光は地域にもともとある魅力を生かして新たな価値を生み出そうとする時代に変化しつつあります。
【話:宮崎大学 地域資源創成学部 根岸裕孝教授】
「3密を避けるがゆえに、逆に小規模で自然が多いことが宮﨑の観光の強みになる。どうやって受け入れて、価格の設定、何を体験してもらうか、もう一度きてもらうための取り組みの仕方、そういったことを踏まえて準備を進めることになるのではないでしょうか?ローカルを見つめ直しながら、どうやって価値を見つけるかということではないかと思います。」
今こそ新しい観光資源を見つめ直す時間と捉えて、私たち県民が宮﨑の観光業界を盛り上げていきましょう!!